香港学習塾 epis Education Centre

メルボルン教室 教室長ブログ

教室長杠 知子

物理学を専攻(理学修士)。大学院生の頃から国立の科学館への勤務や文部科学省が行うSSH(スーパーサイエンスハイスクール)を担当。社会人になってからも教育について国内だけでなく英国・米国など海外にて視察や学会等で発表、研究倫理に関する米国教材の翻訳を担当するなど教育に従事し続けている。日本では個別指導や教育のボランティア、蘇州教室では立ち上げを担当後、渡豪。新しい場所へ行くことや新しい経験をすることが何より大好き。学力を上げる指導はもちろんのこと、約20カ国の大都市から山奥まで巡りながら得た知見も交えて学ぶ楽しさ、考える楽しさも伝えていきます!

多面的にみること

幼少期の頃から従姉妹に連れられて美術館に連れて行ってもらうことがよくありました。訪れる回数が増えると、絵のみせ方などそれぞれのよさを感じられるようになった気もします。

そして、「美術館では静かに過ごすことが大切で、パンフレットを持つときも紙の音をたてないように気をつけましょう。」と、展示スペースに入る前のアナウンスを当然のように信じていた私ですが、訪れる場所が増えたことでその前提に変化がありました。

パリでは、白衣を着た教授と学生と思われる二人が展示されている作品を見つめながらかなり熱く議論していましたし、ロンドンでは、人が集まる空間もつくられていて音楽家は演奏し、来場者は談笑しながらくつろいで聴いており、アムステルダムでは、学校の課外授業だったようで一つの作品の前に生徒数名が座り、先生が解説をするグループが何ヵ所もあったのです。

日本でも絵の楽しみ方に自由度が増えればいいのに、と強く思っていた時期に偶然訪れた横浜の美術館では、展示された絵の右下(子どもの目線に合わせた位置)に、子ども向けの解説パネルも貼られていて、子どもたちが読んで理解したことを話す声が飛び交っており、楽しんでいる様子が印象的でした。

さて、メルボルンの様子は企画展「CHANEL」からお届けします。このとき、ベビーカーを押しながら展示を楽しむ人の姿も結構見かけたのです。

ベビーカーの動作音は?、鳴き声は?、と思ってしまいますがご本人も周りの人たちも気にすることなく今の時間を楽しまれているようでした。

美術館という場所が同じでも、楽しみ方はいろいろなんですよね。自分の前提もいろんな角度から見つめ直す機会をもつことも大切だと思いました。

これは、自分の主張をするときにも大切になります。同時に予想される反論も考えられることが大切です。そのためには、多面的にみることは必要になってきます。そのような頭の体操(!?)をする機会もつくってみようと思います。





移動がもっと便利になるために工事中!

前回のブログで紹介したペーパークラフトは「ビクトリア州を走る電車」がデザインされたものでした。メトロの路線や駅が増えるだけでなく、メルボルンを横断する列車も増えるので移動もますます便利になりそうです。

紹介されていた情報を生徒たちに伝えると、どのあたりまで工事されるのかを興味を持ってくれたり、その建物の場所に行きたがる生徒もいました(ちなみに、Flinders Street Stationの近くです)。



トンネルを地面と水平に掘る方法の一つである「TBM工法」が用いられていることが映像で紹介されており、すぐ近くに現場があるので現場の様子がイメージしやすい!それと同時に、足もとにはライフラインを含めていろんなものが混乱なく整備されているという当たり前のことに感動もしてました(本プロジェクトの関連サイトはこちら)。





私はトンネルが好きというわけではないのですが、、、知り合いの繋がりでトンネル掘削専門の方の情熱的な話を聞いたことがきっかけです。一緒に話を聞いていた人たちみんなが、現場で何が起きているのか知りたい、という気持ちになり見学までさせていただくことになったのです。

掘り方にはいつくかあり、私が見学したのは「山岳工法」というもの。山を掘るときも地盤を崩さないために少しずつ削ることが大切です。

そのため、火薬を詰めるために穴を開け、火薬を詰め、発破し、地盤の状態を確認してから次の作業に移る、、、このことを繰り返しながら進めるので、長い時間が必要になります。

一回の発破で足元から伝わる振動が強かったことは今でも覚えていますし、それ以来、車でトンネルを通るときの気持ちに変化がでたように思います。




ゴーグルを装着して楽しんでいる人もいました!


現場の人の話を聞くことで自分の世界が広がることを他にも経験させてもらったので、それ以来できるだけいろいろなことに目を向けるようもなりました。

同じ情報に対して、すぐに興味を持つ人、知っているだけだったけど数年後に何かがきっかけで興味を持ち始める人、特に変化がない人、と、さまざまだと思いますが情報に触れてみないと変化が起きるかわからないもの。まずはきっかけをできる限り届けたいな、と考えています。


日本の文化に触れる時間も

今日はメルボルンにいながら日本の文化に触れられる企画展をご紹介します。

開催されている場所は、「NGV」で知られているビクトリア国立美術館(National Gallery of Victoria )です。

当時のものが展示されているわけではなく、伝統技術の復元で有名な「雲龍庵」の北村辰夫氏が携わっており、360組の貝殻や貝殻箱、さらには制作過程がわかる展示もありキュレーターの方々の展示の「魅せ方」に引き込まれ、気づけばかなり長い時間過ごしていました。



江戸時代の大名婚礼調度品の「貝桶一式」を復活させるのが目的で、スポンサーはオーストラリアの方とのこと。そのため、日本の花だけでなくオーストラリアの国花であるゴールデンワトル(日本ではミモザという名称で知られているかもしれません。)が描かれたものもありました。

「海外にいながら日本の文化を知ることができるの貴重な機会!」と、思い教室では展示の写真を映して時間が許す限り企画展のことを伝えることもしています。

そこから、江戸時代のこと、伝統技術を復元することを仕事にしている人がいること、漆のこと、キュレーターという仕事のことも伝えたいですし、北村辰夫氏の作品が金沢21世紀美術館に所蔵されているため、こちらの美術館にある作品のことや金沢の魅力についても知ってもらいたいことがたくさんあります。

ちょっとした社会の時間とも言えるかもしれません。貝の美しさに見入る生徒や金沢に興味を示す生徒など反応がさまざまであることが私にとっても興味深い時間になっています。


2022年が始まりました。


明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

2022年初回授業が今日から始まり、夏期講習会も始まりました。いま現地の学校は夏休みで、受験生は入試直前なので朝から晩まで一生懸命に勉強しています。生徒の様子を毎年見ていると、算数や数学の問題で解説されれば簡単に理解できるけれども、なかなか自力で問題を解けないという状況が時々見られます。受験生としてはなかなか苦しい状況です。有名なアメリカの物理学者ファインマンは、『本当に分かった』と感じるのは少なくとも二つ以上の説明の方法を持った時だ、という言葉を残しています。授業では1つの問題に対して色々な解き方を紹介していますが、自分で復習して理解を深めるときにも意識してほしいですね。

写真は普段よく走っている公園をついこの間撮影したものですが、少し前に久しぶりにマラソン大会に参加しました。40km前後を走った残り数kmの地点で体力が底を突いたようで、苦しくて足がなかなか前に進まなくなってしまいました。ただ、「最後まで力を出し切れ!」と自分で自分を鼓舞しながら(笑)、なんとか走り切ることができました。本当にキツい思いをしても、終わってみればその疲れはとても気持ちの良いものです。受験生にも、今を自分自身を大きく成長させる貴重な機会と捉えて、最後まで全力で走り切ってほしいと思います。

また、受験生以外の生徒たちは、夏期講習会をがんばりながら、また健康には気をつけながらも、夏休みを存分に楽しんでくださいね。


2021年が始まりました。


明けましておめでとうございます。

2021年が始まりました。エピスに通う生徒たちはいま、夏休みの真っ只中。どんな過ごし方をしているか聞いてみると、午前も午後もしっかり自主学習している生徒、早朝から水泳のトレーニングをしている生徒、テニスの練習に励んでいる生徒、バランスよく計画的に勉強も運動もがんばっている生徒、本当にさまざまです。まだまだ日常生活を送る中で規制はあるものの、今は一時期に比べるとずいぶん落ち着いています。私も時間があるときには海辺を走ったり、サーフィンを楽しんだりしています。その一方で、コンピューターの画面越しに顔をあわせる日本の生徒たちが心配でもあります。

「あらゆる欠点には長所がある」と言ったのは、オランダが生んだサッカーの天才ヨハン・クライフですが、どんなことにもポジティブな側面、ネガティブな側面があると思います。そんなことを自覚しながら、2021年をより良い1年にしていきたいと思っています。
今年もよろしくお願いします。