多面的にみること
幼少期の頃から従姉妹に連れられて美術館に連れて行ってもらうことがよくありました。訪れる回数が増えると、絵のみせ方などそれぞれのよさを感じられるようになった気もします。
そして、「美術館では静かに過ごすことが大切で、パンフレットを持つときも紙の音をたてないように気をつけましょう。」と、展示スペースに入る前のアナウンスを当然のように信じていた私ですが、訪れる場所が増えたことでその前提に変化がありました。
パリでは、白衣を着た教授と学生と思われる二人が展示されている作品を見つめながらかなり熱く議論していましたし、ロンドンでは、人が集まる空間もつくられていて音楽家は演奏し、来場者は談笑しながらくつろいで聴いており、アムステルダムでは、学校の課外授業だったようで一つの作品の前に生徒数名が座り、先生が解説をするグループが何ヵ所もあったのです。
日本でも絵の楽しみ方に自由度が増えればいいのに、と強く思っていた時期に偶然訪れた横浜の美術館では、展示された絵の右下(子どもの目線に合わせた位置)に、子ども向けの解説パネルも貼られていて、子どもたちが読んで理解したことを話す声が飛び交っており、楽しんでいる様子が印象的でした。
さて、メルボルンの様子は企画展「CHANEL」からお届けします。このとき、ベビーカーを押しながら展示を楽しむ人の姿も結構見かけたのです。
ベビーカーの動作音は?、鳴き声は?、と思ってしまいますがご本人も周りの人たちも気にすることなく今の時間を楽しまれているようでした。
美術館という場所が同じでも、楽しみ方はいろいろなんですよね。自分の前提もいろんな角度から見つめ直す機会をもつことも大切だと思いました。
これは、自分の主張をするときにも大切になります。同時に予想される反論も考えられることが大切です。そのためには、多面的にみることは必要になってきます。そのような頭の体操(!?)をする機会もつくってみようと思います。


