香港学習塾 epis Education Centre

わかば深圳教室 教室長ブログ

教室長末木千尋

2011年12月に香港へ赴任。旧九龍教室、わかば深圳教室とで合計6年間勤務をし、2017年から再び深圳へ。きめ細やかなサポートには定評があり、時間が経つのも忘れついつい話し込んでしまうことも。本気で立ち向かう生徒の守護神として頼れるアネゴ的存在であるスエキチ先生は、衣食住どれをとっても刺激の絶えないここ深圳での生活がお気に入り。暑さには弱いが辛さには強い。好物は山椒のたっぷり入った激辛料理全般だとか。

中国から学ぶこと

廈門の中山公園のバナナの花

日本に住んでいる日本人自身が、日本文化、日本の歴史、日本人について理解が足りず、外国人の方が客観的に分析できることがあります。日本は島国で陸続きの国々に比べ、人種、言語、文化の多様性の少ない環境であるため、直接的な比較をする機会が少ないせいか、自国を客観的に見ることに慣れていないように感じます。

同様に海外に住んでいる私たちは初めて海外を訪れた時には、その土地のことを客観的に捉えることができますが、日々の生活を繰り返していると自然とその土地に馴染んでしまい、改めて考えてみないとその国の特徴に気付けない場合もあります。それでも、考えてみれば、日本との大きな違いやその土地の特徴がはっきりと見えてくるものですが、私の住む深センはその点で非常にわかりにくい都市だと思っています。

深センの歴史といえば、1980年に鄧小平が経済特区に指定した時が歴史の始まりと言ってもよく、たった30年程度のことです。そのため歴史的建造物は皆無に等しく、深センに住んでいて「中国に住んでいるんだ」と強く認識することはほとんどありません。中国らしさと言えば周囲の人々が中国語を話していることだけです。その中国語も広東省でありながら、広東語ではなく、北京語(普通話)がほとんどです。

それはたった30年で急速に発展したことに由来しており、生粋の深セン人は少なく、湖南省を中心に他省から移住してきた労働者が多いために、広東語ではなく、共通語としての北京語が地域の言葉として使われているからです。高層ビルやショッピングモールが林立し、歴史的建造物がなく、地域の言葉を話さない人々が住む深センという街は、特徴の欠く、捉えどころのない土地だとも言えます。

廈門で感じた中国の豊かさ

先日、福建省の廈門(アモイ)に行く機会がありました。廈門は対岸に台湾のある要衝で、近代史においても今日でも非常に重要な役割を担っている都市です。

中国の歴史で言えば、中国共産党と中国国民党による国共内戦が生んだ争いが未だに解決に至らず、一つの中国が中国と台湾に分断された状態を目の前に見ることができる、深センとは一転して、歴史をそのまま引きずったような土地が廈門とも言えます。しかし、私が廈門で感じたことは、そのような政治的な対立による憎しみなどではありません。

中国共産党から台湾に追われる形となった国民党ですが、その国民党の結成の中心人物として活躍したのは孫文です。孫文は共産党からすれば政敵とも言える国民党の中心人物ですが、現在の中国でも尊敬を集め、孫文(孫中山)から名付けられた中山公園は中国各地至る所にあります。

廈門の中山公園では、人々が集い、思い思いの方法で夕暮れ時を過ごしている人々の光景を目の当たりにしました。ただただ談笑するグループ、散歩する親子、中国特有の遊び羽根蹴りをするグループ、トランプに興じるグループ。そこには、日常の慌ただしさや喧騒など皆無で、人生の1日1日をゆっくりと歩むように愉しむ人々ばかりでした。

孫文を祀る中山陵や、孫文にゆかりのある建物には青天白日旗を象徴するような青い瑠璃瓦が使われています。その色合いがなんとも平和的であり、その傍らで平和を象徴するような人々の行いは、中国の豊かさそのものを映し出す鏡とも言えます。

一般的に中国と言えば、マナーが悪い、トイレが汚いなどと小さいなことから、政治に関する大きなことまで、批判ばかりを耳にします。一方で「中国の良いところは?」と問われると、食べ物が安い、交通費が安い、偽物ブランド品が手に入ることなど。

日本人は得てして中国の小さな良し悪しばかりが目に付くようです。しかし、中国から学ぶべきことはそうした些細なことではなく、まさに大陸的に全てを包み込むような悠然たる人生観ではないでしょうか。

私は当の中国人でさえも、その中国の良さにはあまり気づいていないのではないかと思います。清代末期に中国が成し得なかった文明開化を今、急速に進められている感があります。

深センに住む子供達を育てるために


赤いプルメリア(深セン)

深センは経済発展の急先鋒と言えます。高層ビル、マンションが次々と建設され、地下鉄網も拡張し続けています。中国各地から多くの若者が深センドリームを追い求め集まり、自ら起業したり、ビジネスチャンスを見つけてチャレンジを続けています。

深センでは廈門のような歴史的な重みは感じません。歴史に縛られず、軽やかで開放的でチャンスに満ち溢れている元気な都市が深センです。そして、深センは語るほどの歴史がないというよりも、今、深センが都市としての個性を持つに至る成長過程にあり、そこに住む私たちも深センの個性を作り上げる歴史の真っ只中にいるのだということです。こんなチャンスは滅多にないと私は感じています。

しかし、深センに住む日本の子供達は、誇りを持って深センに住んでいるでしょうか。多くの子供達は深センに住む自分たちに誇りを持ってるとは思えません。なぜでしょう。深センに魅力がないからではありません。多くの大人たちが深センに住んでいることに誇りを持っていないからです。

大人の都合はともかく、子供達は住む地域を選択する自由がありません。10代までに過ごす土地に誇りを持つことができない子供達の精神的な発達、自己肯定感への影響は非常に大きいものと考えます。自分の住む土地を汚い、マナーが悪いと批判しながら暮らした人間が健全に育つでしょうか。

深センに住む私たち大人の使命として、子供達に自分たちが住む深センという土地、中国という国を好きになってもらう、ひいては自分たちをもっと愛せるようになるためにも、深セン、中国を理解し、子供達に伝えていく必要があると思います。日本の報道で中国批判をしたとしても、中国に住む我々は中国を批判するのではなく、そこから学べることにもっと目を向けていくべきです。

今年の夏期講習では、中学3年生に深センを少しでも知ってもらうべく、前海深港青年夢工場と大鵬古城という深センの象徴的な2箇所をめぐるツアーにでかけました。深センのことが、中国のことが少しでも好きになった彼らが将来世界の架け橋となってくれること、世界を舞台に活躍してくれることを期待しています。

「深センでこんないいところがある!」という方がいらっしゃれば是非教えてください。子供達をまた別な機会に連れていってあげようと思います。


中3夏期特訓3日目 先輩からのアドバイス

中3夏期特訓3日目。
全力疾走で駆け抜けるような3日間があっという間に過ぎました。
今の生徒たちの様子は「日々成長」ではなく、分刻みで成長しているかのような勢いを感じます。

そんな生徒たちに嬉しい来訪者が来てくれました。
先月、都立国際IBコースに合格を決めたばかりのHさんです。
ちょうど面接・作文を特訓中の生徒たちに、アドバイスをくれました。


Hさんからのアドバイス

今回のテーマは「将来の目標」。
生徒たちは、スピーチの原稿を一生懸命練り、言葉を選んで内容を充実させようと必死です。しかし、それだけではやはりうまくいきません。Hさんのアドバイスにもありましたが、「話したいことがあれば自然に言葉が出てくる」ものです。

自分自身が目標に対して、どれだけ真剣に考えているのか。どれだけ情熱を持っているのか。その真剣さ、情熱が言葉にのって初めて、気持ちが相手に伝わります。
いい言葉、いいセリフを考えるのではなく、自分の夢、目標についてトコトン突き詰めていきましょう。

今日は厳しい指導になりました。自分の考えの甘さに涙する生徒もいました。
都立国際コースに合格できたHさんも、厳しい指導の中、将来の夢や志望動機に対する情熱を高めていきました。

今日は、昨日の反省を生かして、どのように仕上げてくるのか楽しみです!

あと2日間がんばろう!


朝のチェックテスト


中3夏期特訓2日目 殻を打ち破った瞬間

中3特訓期間の目玉の1つでもある面接・作文指導。
この5日間では、そのスキルを向上させるだけではなく、テーマについて考えるときに、自己と向き合うことで精神的な成長することも期待しています。

今日は昨日に引き続き、「中学校生活で一番印象に残ったこと」をスピーチ形式で自己表現する練習をしました。

昨日の練習では、 どんなに内容が良くても、丸暗記の棒読みでは何も伝わらないこと、同じ事実を伝えていても、言葉の選び方によっては、全く印象が変わってしまうことなどを学びました。

朝8時半から夜の9時半まではepisにいるので、教科の学習以外にスピーチの練習や原稿を推敲する時間は取りにくいだろうと思っていましたが、みなさん昨日の反省を生かして、それぞれがしっかり改善してきました。

もともと良く出来ていた原稿でさえも、より個性的な内容にするため、全面的に書き換えてくる生徒もおり、そのチャレンジ精神には脱帽するばかりです。

そんな、みんなの努力を一蹴するかのように、今日誰よりも輝いたのはS。人前で話すと急に萎縮して、表情もこわばり、いつもの持ち前の明るさを表現することができない。
この特訓期間だから特別に緊張しているのかと思って聞いてみると、学校でも人前に立つのが非常に苦手だとのこと。

今日のSのスピーチの順番は一番最後。
自分の出番を前に続々と発表を終える生徒たちは、それぞれが昨日の反省を生かし、目に見えて進歩していました。果敢にチャレンジする生徒もいました。どんどん高まるプレッシャーの中、何を思っていたのでしょう。

そして、迎えた出番。
なんとSは、 これまで考えて来た原稿を思い切って全て破棄して、アドリブで語り出しました。内容をアドリブで話すだけでも大変だったでしょうが、同時に、勇気を振り絞って、震える体を隠しながらもいつもの明るくユーモア溢れる自分自信を思い切って、人前で表現しました。

この変貌ぶりに一番驚かされたのは私です。
実は、スピーチ練習の直前までSと私はマンツーマンで特訓をしていました。大きい声で自信を持って話す練習です。
正直、あまり成果は見られませんでした。本人もそう感じていたと思います。

しかし、本番では、私との特訓の内容もおかまいなし。思い切って自分らしさを全面にぶつけてきました。

Sが話始めた瞬間から、聞いていた生徒、講師一同全員が、その話に引き込まれ、同時に今まで破ることの出来なかった殻を打ち破る瞬間に立ち会うことができました。

本当に大きなチャレンジ。本当に大きな一歩を踏み出しました。
そして、自分自身に大きな自信を与えたのはもちろん、他の生徒たちにも一気に火がついた瞬間でもありました。

中3特訓2日目にしてこんなドラマがあるとは思いもよりませんでした。
人が自分を変える瞬間をこんなにもはっきりと見たことがありません。

今、中3生全員が相互に高め合い始めています。
残りの3日間でもどんなドラマが生まれるのか楽しみです。


中3夏期特訓スタート!

自由貿易試験区 金融エリア

わかば深セン教室では8日間の全体の講習期間を終え、今日からは中3だけの5日間の特訓期間がスタートしました。
初日の今日は、教科の学習ではなく、「深センを知る」をテーマに課外学習のため深センを走り回りました。
この企画は「深センを知る」ことからさらに掘り下げて「自分自身を知る」ことがねらいです。
高校入試では面接や作文が課されることがあります。そのテーマの多くは、海外生活、中学生活、将来の夢などに関することが扱われます。
それらのことを語るときに、今自分たちが住む深センのことを知らずに、深センでの生活を語ることはできません。深センは急速に発展した都市であるが故に、歴史や街の特徴がつかみにくくなっています。

そのため、今回は「前海深港青年夢工場」という最新の経済特区と「大鵬古城」という明代からの遺跡を訪れ、新旧深センを一気に訪れるというタイムスリップのようなツアーに飛び出しました。
写真はこちらにアップしています。


前海深港青年夢工場

前海深港青年夢工場は、その名の通り、深センと香港の才能のある若者の起業を支援するために立ち上げられた経済特区で、そこはまるでテーマパークかと錯覚するような作りになっています。優れたアイディアを出せば、それを支援してくれるシステムがそこに用意されてあり、またその環境が非常にスタイリッシュで魅力的であるので、夢工場の名の通り生徒たちに夢や希望を与えてくれたようです。

目の前にある勉強の意味がわからなくなりがちな受験生ですが、ここで勉強の先にあるものが少し形になったのではないかと思います。


大鵬古城


続いて訪れたのは、大鵬古城。明代から残っている城壁に囲まれた古い街です。中国の城は日本のいわゆるお城とは違い、壁で街全体を囲ってしまい、街ごと防衛設備にしてしまおうという物です。大鵬古城は600年前の倭寇の襲来などに備えて作られた街とのことです。

手付かずのまま残っている城壁や家々からは、中国の歴史を肌で感じることができます。中国にいるのだから歴史くらい感じるだろうと思われるかもしれませんが、そこがここ深センの特徴で、普段の暮らしから中国の歴史を感じるようなことはほとんどありません。教室のある南山区から1時間半かけて移動してやっと深センの歴史に直接触れることができます。

建物だけでも感動しきりでしたが、天后廟にいたおばあさんがしきりに私たち一行に現地の言葉(なまった北京語と広東語の混ざったような言葉)で話しかけてくれました。おばあさんの言うことは、ほとんど聞き取れませんでしたが、「聴くか、聴かないか?」というので、「聴く」と答えたところ、初めてなのに懐かしいメロディーの歌を、やさしい風が吹いているような歌声で一曲歌ってくれました。こんな出会いも深センの街中ではありません。


歌を聴かせてくれたおばあさん

海辺で一休みをして、教室に帰還。夕食を済ませてからは、面接と作文のための特訓が続きました。朝から晩まで多くの経験をしたので、1日のできごととは思えないほどでした。

今日の経験は今後の厳しい勉強の糧、作文、面接、人生の糧にしていってほしいと思います。

明日からの4日間は厳しい特訓になると思います。がんばろう!!!


大鵬の海で一休み


教育講演会『今、海外帰国生に期待すること』


わかば深圳教室では、『今、海外帰国生に期待すること』と題して渋谷教育学園幕張中学・高等学校(渋幕)の永井先生をお迎えして、教育講演会を開催いたしました。

70名を超える来場者があり、深圳の教育に対する関心の高さが伺い知れるイベントとなりました。

この講演会には小学5年生から中学3年生の生徒も参加しており、1時間半の講演ということで、子供達がこの長い講演会を聞くことができるかが、開催する上で実は非常に心配でした。

しかし、そこは永井先生のユーモアを交えたトークのおかげで、子供達も1時間半最後までお話を拝聴することができました。

参加する子供達には、この講演会で何か1つでも自分の今後の生活や学習、将来のことを考えるきっかけを見つけるつもりで聞くように、前もって話していました。

何を見つけられたのかは、人それぞれですが、講演会終了後の子供達の表情から「渋幕のような学校にいきたい!」「がんばって勉強するぞ!」と語っているかのような印象を受けました。

渋幕を目指している生徒も、そうではない生徒も参加していましたが、一様に永井先生にパワーをいただくことができました。

深圳教室には全国各地からの生徒が集まっています。
渋幕の先生がここで講演会を行うことは、広報的には非効率的なことなのではないかと思います。
それでも、深圳にまでお越しいただき、分け隔てなく生徒達に夢や希望を与えてくださったことに、いくら感謝をしてもし尽くせるものではありません。

生徒たちには、まだわからないかもしれませんが、永井先生のような方の教育に対する情熱や好意によって海外での深圳での教育が支えられていることを知ってほしいと思っています。

講演終了後のみなさんの暖かく大きな拍手、撤収作業をお手伝いくださった親御さん、生徒さん、本当にありがとうございました。

また近い将来にこのような機会を作れたらと強く思います。

最後になりましたが、永井先生本当にありがとうございました。