香港学習塾 epis Education Centre

わかば深圳教室 教室長ブログ

教室長末木千尋

2011年12月に香港へ赴任。旧九龍教室、わかば深圳教室とで合計6年間勤務をし、2017年から再び深圳へ。きめ細やかなサポートには定評があり、時間が経つのも忘れついつい話し込んでしまうことも。本気で立ち向かう生徒の守護神として頼れるアネゴ的存在であるスエキチ先生は、衣食住どれをとっても刺激の絶えないここ深圳での生活がお気に入り。暑さには弱いが辛さには強い。好物は山椒のたっぷり入った激辛料理全般だとか。

勉強のことは少し忘れて夜空を眺めてみる

オリオン座(Wikipediaより)

 わかば深圳教室のある美年広場から大通りへ出る敷地内の通り道は、真東よりやや南よりの方角に伸びています。私が教室の勤務を終えて帰宅するころには、日本や香港のように灯りが残っておらず、暗闇の中その小道を歩くことになります。普通に顔を上げて歩いていれば自然と東の空の夜空が目に飛び込んできます。

 最近は東の空からちょうど上ってくるオリオンの横たわった姿が見られるようになってきました。毎日同じ時刻に見ていてもオリオンは見えても青白く輝くシリウスは見えていませんでしたが、その姿も徐々にみられるようになってきました。

 理科の天体の単元では「オリオン座は冬を代表する星座です」と学習します。あるいは「冬にはオリオン座が見られます」と学習するでしょうか。しかし、そんなことは学習しなくても、普段の生活の中でオリオン座が冬の星座であることを周囲の空気とともに脳も体も記憶してくれています。深圳で見るオリオン座であるにもかからず、日本で幾度となく見てきたオリオンの記憶があるせいか、私は体が寒さに震えるような感覚さえ覚えます。

 オリオン座を見ると、現実にはない寒さを感じると同時に、「今年も冬がやってきたな」とも思いますが、「あの時もオリオン座が見えていたな」とオリオン座には過去の記憶が結びついています。


オリオン座(Wikipediaより)

 遠い記憶ながら一番よく思い出すのは、大学時代を過ごした街を去るその日の朝のことです。徹夜で友人宅で飲み明かした夜明けごろに、ベランダに涼みに出て思いがけず目に入ってきたのはオリオン座でした。それは8月か9月のことだったので、オリオン座が見える季節ではありませんでしたが、夜明け頃に少しだけ見える東の空のオリオンを見ることができました。夏の夜空に思いがけず見ることのできた驚きと、友人との別れを惜しむ気持ちが相まってか、記憶に深く刻み込まれているようです。

 近い記憶でいえば、2015年10月31日の香港での土浦日大高校の入試の朝を思い出します。今年は香港日本人中学校前での校門激励に向かうべく、朝の6時に深圳を出発しました。その日の朝、夜の明け始めている空をふと見上げると南の空に月とオリオンが、東の空には金星、火星、木星がめずらしくそろって輝いていました。この日の夜空も生徒たちの顔とともに記憶に刻み込まれるのかもしれません。

 香港でも深圳でもオリオン座くらいはかろうじてみることができます。オリオンが見えにくくても冬の大三角はわかります。スマートフォンのアプリを使って画面を星に向ければ星座名や星の名前を重ねてみることもできます。特に中学受験に必要な知識は、日常生活をどれだけ豊かに過ごせているかが重要な鍵となっています。勉強という意識を捨てて、夜の散歩に出かけてみてはいかがでしょうか。


土浦日本大学高等学校 帰国国際生入学試験

 去る10月31日(土)、海外実施の2016年度入試の初戦、土浦日本大学高等学校の帰国入試がアジア6都市で実施されました。

 土浦日大の入試は、11月前後に受験できるという日程的な要因や寮を完備していることから海外からの受験生を多く集めています。
 合否結果もその得点により進学、特進、2種特待、1種特待、1種S特待と5段階に分かれるため、秋の段階での仕上がり具合を確認するという意味でも多くの海外生が前哨戦として受験しています。

 今年の入試は、昨年度の本校の大学合格実績の伸び(東京大学、筑波大学)を受け、難化を想定していましたが、想定通りに英語を筆頭にこれまでとは大きく異なる入試となりました。
 この難化は本校の大学合格実績に対する自信の表れと、入試そのものの格式を上げることで、学校そのもののブランド力アップにつながっていると思われます。

 英語圏やインターからの受験生であれば、今回の英語の難化は歓迎するところですが、非英語圏の日本人学校の生徒にとっては英語で差のつく試験となり苦戦したことと思います。
 1月の国内帰国生入試、来年度の入試の参考にしていただければと思い、各教科の具体的な変更点や試験内容の特徴、対策について以下にまとめました。

国語

【構成】
 大問1語彙・文学史などの知識問題/大問2論説文/大問3小説文/大問4詩/大問5古典
 構成は例年通りで大きな変化はありませんでした。全体の特徴としては、大問1以外でも知識問題が目立っています。例えば大問2で品詞の識別、3大問で四字熟語、大問4で表現技法・部首・ことわざ、大問5で文学史、などが出題されています。
【分析・対策】
 読解問題の選択肢は紛らわしいものもあるので、普段から吟味して選択肢を選ぶくせをつけておく必要があります。(例えば選択肢の文中の心情語、理由部分、その他キーワードなどに着目し、根拠づけながら選択肢を切っていく)
 最後に、古典は出題できるものも限られてくるので、代表作は粗筋だけでも目を通しておくと良いでしょう。宇治拾遺物語、今昔物語、徒然草などが一般入試も含め過去に複数回出ています。(今回は「今物語」)

数学

【構成】
 大問1小問集合/大問2確率・文章題(速さ)/大問3文章題(食塩)/大問42次関数/大問5平面図形(相似・円)
構成は例年通りとなっていますが、やや難化傾向にあります。
【分析・対策】
 大問1の小問集合は例年では満点を狙える得点源でしたが、単純な計算ではない不定方程式が出題され序盤でつまずき焦った受験生が多かったのではないでしょうか。
 大問3の文章題は食塩水の問題でも有名な等量交換の問題が出題されました。比を利用して解けばいとも簡単に解くことのできる問題ですが、食塩の問題が苦手な人にとっては難題となったことでしょう。
 大問5の平面図形は、例年通りで難易度もさほど高い問題ではありませんが、学校であれば9月・10月に学習するので、習ったばかりの受験生にとっては難しいとも言えます。
対策としては、2次関数、相似が例年出題されていますので、学校での学習を待たずに夏までには基礎的なレベルの問題が解けるようにしておきましょう。また、例年は見られなかった速さ・割合の文章題も出題されているので、文章題の対策も怠らないようにしましょう。

英語

【構成】
 大問1・2読解/大問3会話文/大問4発音・アクセント/大問5並び替え/大問6・大問7空所補充
 問題の順序は年によって前後することもありますが、読解力/文法・語彙力/発音と幅広く問われる点はこれまでと変わりありませんでした。
【分析・対策】
 大きな変更点としては、大問1・大問2の読解問題の長文が非常に長くなっていることや、大問3の会話文が長文の中に組み込まれるなど、全体を通して読まなければならない英文量がかなり増えていまることです。これまでの過去問と同じペースで進めていくと時間不足になってしまいます。全体としては難化傾向と言えます。
 対策としては、まずは普段から長めの文章問題に慣れておくことが`第一ですが、他には問題形式ごとに取り組みを工夫すると良いでしょう。例えば大問2のタイプは一気に読まずにパラグラフごとに問を確認する。選択肢に細かいひっかけがあるので、狭い範囲で根拠を明確にしながら解いていった方が間違えにくくなります。また大問3のような問題は、全体を読まなくても空所の前後の手がかりだけから答えることができます。そういった取り組み上の工夫からもかなり時間を稼ぐことができるでしょう。

土浦日本大学高等学校 帰国国際生入学試験情報

海外入試

 日程:2015年10月31日(土)
 試験地:台北、香港、バンコク、上海、シンガポール、ジャカルタ
 試験科目:国語・数学・英語(各50分マークシート方式)・面接(受験生のみ)
 合格発表:2015年11月9日(月)

国内入試

 日程:2016年1月16日(土)
 試験会場:土浦日本大学高等学校
 試験科目:国語・数学・英語(各50分マークシート方式)・面接(受験生のみ)
 合格発表:2016年1月20日(水)


アルゴクラブ「ジオ作品展」子供の想像力


先日、アルゴクラブのジオ作品展の優秀賞がアルゴクラブのWebサイトで発表されました。ぜひご覧になってみてください。

わかば深圳教室ではこの作品展での入賞を目指して、生徒のみなさんにもたくさんの作品を作ってもらいました。

今回は残念ながらわかば深圳教室からは優秀賞は選ばれませんでしたが、実際に優秀賞に選ばれた作品を見てみると、やはり簡単には真似ができないような作品ばかりでしたので、受賞するのは難しいと感じました。

そして、それらの作品を見ていて、どのような子供が創造性の高い作品を作ることができたのかと考えてみました。

私は「とにかくジオワンに触れること。ジオワンで遊ぶこと」だと思います。

アルゴクラブの対象年齢である「つ」のつく年齢(1才から9才)の子供たちは大人には到底思いつかない豊かな想像力をもともと備えています。

私たち大人は、大人の感覚で「いい作品を作らせる」にはどうしたら良いかを考えてしまいますが、子供たちはそんなことを考えなくても(考えないほうが)勝手に思いもしないような物を作ってくれるものです。

しかし、そのためにはある程度の「時間」が必要です。
なんとなく、何気なく、ジオワンで遊んでいるうちに不思議な形ができる。
その形を変形させていったら、動物のような形になってきた。

そのような、自由に時間に制限も設けずに触っている時こそ、子供は本来持っている力が発揮できるものではないでしょうか。

現代社会の忙しさは、子供たちにまで影響を与えています。
小学生でさえも、「忙しい」「自分の時間がない」と言います。

子供たちのクリエイティビティを育むには、持て余すほどの自由な時間を与えて、そこで自ら考えて遊ぶことこそがやはり重要なのだと思います。

子供たちには、何かを習う、学ぶという受動的な活動だけではなく、能動的な活動にも取り組んでいってほしいと思います。

ジオ1だけではなく、積み木でもレゴでも、砂遊びでもいいと思います。
みんなもっともっともっともっと遊びましょう!


中国から学ぶこと

廈門の中山公園のバナナの花

日本に住んでいる日本人自身が、日本文化、日本の歴史、日本人について理解が足りず、外国人の方が客観的に分析できることがあります。日本は島国で陸続きの国々に比べ、人種、言語、文化の多様性の少ない環境であるため、直接的な比較をする機会が少ないせいか、自国を客観的に見ることに慣れていないように感じます。

同様に海外に住んでいる私たちは初めて海外を訪れた時には、その土地のことを客観的に捉えることができますが、日々の生活を繰り返していると自然とその土地に馴染んでしまい、改めて考えてみないとその国の特徴に気付けない場合もあります。それでも、考えてみれば、日本との大きな違いやその土地の特徴がはっきりと見えてくるものですが、私の住む深センはその点で非常にわかりにくい都市だと思っています。

深センの歴史といえば、1980年に鄧小平が経済特区に指定した時が歴史の始まりと言ってもよく、たった30年程度のことです。そのため歴史的建造物は皆無に等しく、深センに住んでいて「中国に住んでいるんだ」と強く認識することはほとんどありません。中国らしさと言えば周囲の人々が中国語を話していることだけです。その中国語も広東省でありながら、広東語ではなく、北京語(普通話)がほとんどです。

それはたった30年で急速に発展したことに由来しており、生粋の深セン人は少なく、湖南省を中心に他省から移住してきた労働者が多いために、広東語ではなく、共通語としての北京語が地域の言葉として使われているからです。高層ビルやショッピングモールが林立し、歴史的建造物がなく、地域の言葉を話さない人々が住む深センという街は、特徴の欠く、捉えどころのない土地だとも言えます。

廈門で感じた中国の豊かさ

先日、福建省の廈門(アモイ)に行く機会がありました。廈門は対岸に台湾のある要衝で、近代史においても今日でも非常に重要な役割を担っている都市です。

中国の歴史で言えば、中国共産党と中国国民党による国共内戦が生んだ争いが未だに解決に至らず、一つの中国が中国と台湾に分断された状態を目の前に見ることができる、深センとは一転して、歴史をそのまま引きずったような土地が廈門とも言えます。しかし、私が廈門で感じたことは、そのような政治的な対立による憎しみなどではありません。

中国共産党から台湾に追われる形となった国民党ですが、その国民党の結成の中心人物として活躍したのは孫文です。孫文は共産党からすれば政敵とも言える国民党の中心人物ですが、現在の中国でも尊敬を集め、孫文(孫中山)から名付けられた中山公園は中国各地至る所にあります。

廈門の中山公園では、人々が集い、思い思いの方法で夕暮れ時を過ごしている人々の光景を目の当たりにしました。ただただ談笑するグループ、散歩する親子、中国特有の遊び羽根蹴りをするグループ、トランプに興じるグループ。そこには、日常の慌ただしさや喧騒など皆無で、人生の1日1日をゆっくりと歩むように愉しむ人々ばかりでした。

孫文を祀る中山陵や、孫文にゆかりのある建物には青天白日旗を象徴するような青い瑠璃瓦が使われています。その色合いがなんとも平和的であり、その傍らで平和を象徴するような人々の行いは、中国の豊かさそのものを映し出す鏡とも言えます。

一般的に中国と言えば、マナーが悪い、トイレが汚いなどと小さいなことから、政治に関する大きなことまで、批判ばかりを耳にします。一方で「中国の良いところは?」と問われると、食べ物が安い、交通費が安い、偽物ブランド品が手に入ることなど。

日本人は得てして中国の小さな良し悪しばかりが目に付くようです。しかし、中国から学ぶべきことはそうした些細なことではなく、まさに大陸的に全てを包み込むような悠然たる人生観ではないでしょうか。

私は当の中国人でさえも、その中国の良さにはあまり気づいていないのではないかと思います。清代末期に中国が成し得なかった文明開化を今、急速に進められている感があります。

深センに住む子供達を育てるために


赤いプルメリア(深セン)

深センは経済発展の急先鋒と言えます。高層ビル、マンションが次々と建設され、地下鉄網も拡張し続けています。中国各地から多くの若者が深センドリームを追い求め集まり、自ら起業したり、ビジネスチャンスを見つけてチャレンジを続けています。

深センでは廈門のような歴史的な重みは感じません。歴史に縛られず、軽やかで開放的でチャンスに満ち溢れている元気な都市が深センです。そして、深センは語るほどの歴史がないというよりも、今、深センが都市としての個性を持つに至る成長過程にあり、そこに住む私たちも深センの個性を作り上げる歴史の真っ只中にいるのだということです。こんなチャンスは滅多にないと私は感じています。

しかし、深センに住む日本の子供達は、誇りを持って深センに住んでいるでしょうか。多くの子供達は深センに住む自分たちに誇りを持ってるとは思えません。なぜでしょう。深センに魅力がないからではありません。多くの大人たちが深センに住んでいることに誇りを持っていないからです。

大人の都合はともかく、子供達は住む地域を選択する自由がありません。10代までに過ごす土地に誇りを持つことができない子供達の精神的な発達、自己肯定感への影響は非常に大きいものと考えます。自分の住む土地を汚い、マナーが悪いと批判しながら暮らした人間が健全に育つでしょうか。

深センに住む私たち大人の使命として、子供達に自分たちが住む深センという土地、中国という国を好きになってもらう、ひいては自分たちをもっと愛せるようになるためにも、深セン、中国を理解し、子供達に伝えていく必要があると思います。日本の報道で中国批判をしたとしても、中国に住む我々は中国を批判するのではなく、そこから学べることにもっと目を向けていくべきです。

今年の夏期講習では、中学3年生に深センを少しでも知ってもらうべく、前海深港青年夢工場と大鵬古城という深センの象徴的な2箇所をめぐるツアーにでかけました。深センのことが、中国のことが少しでも好きになった彼らが将来世界の架け橋となってくれること、世界を舞台に活躍してくれることを期待しています。

「深センでこんないいところがある!」という方がいらっしゃれば是非教えてください。子供達をまた別な機会に連れていってあげようと思います。


中3夏期特訓3日目 先輩からのアドバイス

中3夏期特訓3日目。
全力疾走で駆け抜けるような3日間があっという間に過ぎました。
今の生徒たちの様子は「日々成長」ではなく、分刻みで成長しているかのような勢いを感じます。

そんな生徒たちに嬉しい来訪者が来てくれました。
先月、都立国際IBコースに合格を決めたばかりのHさんです。
ちょうど面接・作文を特訓中の生徒たちに、アドバイスをくれました。


Hさんからのアドバイス

今回のテーマは「将来の目標」。
生徒たちは、スピーチの原稿を一生懸命練り、言葉を選んで内容を充実させようと必死です。しかし、それだけではやはりうまくいきません。Hさんのアドバイスにもありましたが、「話したいことがあれば自然に言葉が出てくる」ものです。

自分自身が目標に対して、どれだけ真剣に考えているのか。どれだけ情熱を持っているのか。その真剣さ、情熱が言葉にのって初めて、気持ちが相手に伝わります。
いい言葉、いいセリフを考えるのではなく、自分の夢、目標についてトコトン突き詰めていきましょう。

今日は厳しい指導になりました。自分の考えの甘さに涙する生徒もいました。
都立国際コースに合格できたHさんも、厳しい指導の中、将来の夢や志望動機に対する情熱を高めていきました。

今日は、昨日の反省を生かして、どのように仕上げてくるのか楽しみです!

あと2日間がんばろう!


朝のチェックテスト