香港学習塾 epis Education Centre

わかば深圳教室 教室長ブログ

教室長末木千尋

2011年12月に香港へ赴任。旧九龍教室、わかば深圳教室とで合計6年間勤務をし、2017年から再び深圳へ。きめ細やかなサポートには定評があり、時間が経つのも忘れついつい話し込んでしまうことも。本気で立ち向かう生徒の守護神として頼れるアネゴ的存在であるスエキチ先生は、衣食住どれをとっても刺激の絶えないここ深圳での生活がお気に入り。暑さには弱いが辛さには強い。好物は山椒のたっぷり入った激辛料理全般だとか。

平成29年度 土浦日本大学高等学校 帰国国際生入学試験

 10月29日(土)に、平成29年度入試の口火が切られ、香港での土浦日大高等学校の帰国生入試が実施されました。今年度の入試を占うこの試験について、今年も分析していきたいと思います。

 昨年度は、同校の大学合格実績の自信の表れか、試験が難化しましたが、今年の一番の印象は数学の難易度が下がったことにあります。昨年度難化した英語のレベルを維持したまま、数学の難易度が下がったので、インター校・現地校などで英語を得意とする生徒にとっては受験しやすくなったかと思います。
 逆に、数学を得意教科としていて、日本人学校などで特に英語に力を入れて来なかった生徒にとっては、数学で差がつかない上に、英語で差をつけられてしまうことで、上位クラスでの合格を逃してしまうケースも出てきそうです。

 この傾向だけを見ると、英語力重視の試験ということが言え、近年急増している中学受験における英語入試実施校の増加と同じ傾向と言えます。これはインター生・現地校の生徒だけが有利なのではなく、日本人学校生でもしっかり英語を勉強していれば、試験が有利に戦えると言えるでしょう。

 しかし、試験で有利に働くことと、子供の教育や日本の将来を見据えた教育とは必ずしも合致するとは言えません。昨今の英語重視の入試事情は冷静に見つめないと、大きく舵取りを誤ってしまうのではないかという懸念も忘れてはいけないと思います。

 話題がそれましたが、各教科のテストを分析してみましょう。

国語

【構成】
 大問1語彙・文学史などの知識問題/大問2論説文/大問3小説文/大問4詩/大問5古典
 構成は例年通りで大きな変化はありませんでした。全体の特徴としては、大問1以外でも知識問題が目立っています。また、今年度は大問2から大問4にかけて、接続詞を選択する問題が出題されています。
【分析・対策】
 読解問題の選択肢は紛らわしいものもあるので、普段から吟味して選択肢を選ぶくせをつけておく必要があります。(例えば選択肢の文中の心情語、理由部分、その他キーワードなどに着目し、根拠づけながら選択肢を切っていく)
 また、接続詞の問題を中心に、空欄補充問題も多く出題されるので、空欄部分の前後を中心に文章の流れを意識して読む必要もあります。
 最後に、古典は出題できるものも限られてくるので、代表作は粗筋だけでも目を通しておくと良いでしょう。宇治拾遺物語、今昔物語、徒然草などが一般入試も含め過去に複数回出ています。(今回は「徒然草」)

数学

【構成】
 大問1 小問集合(5題)/大問2 小問(3題)/大問3 文章題(文章題・売買損益)/大問4 1次関数・2次関数/大問5 平面図形(線対称・二等辺三角形)
【分析】
 今年度の問題は概ね基礎的なレベルの問題が多く、昨年度に比べ極端に差がつく問題はなかったようです。問題の難易度というよりも大問1の資料に関する問題や大問3の文章題の文字の多さに対して不慣れなために動揺した人がいたかもしれません。
 しかし、実際に問題を解いてみると、資料の問題は知識を必要とせず、図表をしっかり確認するだけのものでした。
 一方、大問3の文章題は登場人物や未知数の数(使用されている文字数)に圧倒されたり、売買損益の苦手意識のために必要以上に難しく感じたりした人もいたかもしれません。
 また、同問の(3)では単純に方程式を解けば解を得られるのではなく、条件に合う解を確かめる必要がありました。これは、普段から型にはめて問題を解いているだけの人にとってはハードルが高かったかもしれません。
【対策】
 全体の難易度は決して高いものではありませんでしたので、初めての高校入試とは言え、落ち着いて問題を解くことがやはり重要です。そのためにも、苦手な問題や時間のかかりそうな問題は後回しにするなど、全体の攻略方法を試験開始時に落ち着いて考えてみるとよいでしょう。今回の構成で言えば、大問3に苦手な文章題があるのであれば、確実に解けそうな大問4を先に解いておけば、焦りや不安を後に引きずることを避けることができます。ほんの30秒でできることなので、すぐに計算問題を解き始める前に全体の構成を把握するようにしましょう。

英語

【構成】
 大問1・2長文読解/大問3会話文読解/大問4発音・アクセント/大問5並び替え/大問6・7空所補充
 英語は一昨年から昨年にかけては大きく難化しましたが、昨年から今年にかけては形式・難易度ともにほぼ変化無しです。
【分析・対策】
 昨年同様、時間との戦いになったのではないかと思います。まず長文以外の問題(大問4から大問7までの発音・アクセント、文法、語彙の問題)ですが、時間配分としては10分ちょっと終わらせたいところです。難易度としてはどれも基本的な問題でノーミスでいきたいところです。
 そうすると残り時間が40分弱で長文3題なので、長文1題につき10分ちょっとという計算になります。速読力に相当自信があればそのまま頭から読み進めて解いていくことも出来るかも知れませんが、そうでなければ作戦面で工夫をする必要が出てきます。
 分量から言っても、一度読んだところを何度も読み返すロスは避けたいところです。まずざっと問題に目を通し、聞かれている事柄やキーワードを意識しながら、ポイントと思われる語や文に線引きしながら読んでいきましょう。それだけでも解答やその根拠の箇所を探す時間がかなり短縮されるはずです。
 特に大問2では、多くの中学生にとって馴染みの薄いであろうスコットランドの様々な地名やその位置関係などが問われています。そういったポイントに注目しながら読めた受験生とそうでない受験生では、この問題にかかった時間が大きく違ったのではないかと思います。
 大問3は、全て読まなくても出来るタイプの問題です。小問1は前後の文のみでOK。小問2は手がかりを探す必要がありますが、会話文で分量が少ないため、探し出すのに時間はかかりません。
 これからいよいよ入試が本格化します。英語の実力を上げていく努力は日々怠らず、同時に過去問などを通じて自分の志望校に合わせた最適戦術に磨きをかけていきましょう。

土浦日本大学高等学校 帰国国際生入学試験情報

海外入試

 日程:2016年10月29日(土)
 試験地:台北、香港、バンコク、上海、シンガポール、ジャカルタ
 試験科目:国語・数学・英語(各50分マークシート方式)・面接(受験生のみ)
 合格発表:2016年11月7日(月)


土浦日本大学高等学校 帰国国際生入学試験

 去る10月31日(土)、海外実施の2016年度入試の初戦、土浦日本大学高等学校の帰国入試がアジア6都市で実施されました。

 土浦日大の入試は、11月前後に受験できるという日程的な要因や寮を完備していることから海外からの受験生を多く集めています。
 合否結果もその得点により進学、特進、2種特待、1種特待、1種S特待と5段階に分かれるため、秋の段階での仕上がり具合を確認するという意味でも多くの海外生が前哨戦として受験しています。

 今年の入試は、昨年度の本校の大学合格実績の伸び(東京大学、筑波大学)を受け、難化を想定していましたが、想定通りに英語を筆頭にこれまでとは大きく異なる入試となりました。
 この難化は本校の大学合格実績に対する自信の表れと、入試そのものの格式を上げることで、学校そのもののブランド力アップにつながっていると思われます。

 英語圏やインターからの受験生であれば、今回の英語の難化は歓迎するところですが、非英語圏の日本人学校の生徒にとっては英語で差のつく試験となり苦戦したことと思います。
 1月の国内帰国生入試、来年度の入試の参考にしていただければと思い、各教科の具体的な変更点や試験内容の特徴、対策について以下にまとめました。

国語

【構成】
 大問1語彙・文学史などの知識問題/大問2論説文/大問3小説文/大問4詩/大問5古典
 構成は例年通りで大きな変化はありませんでした。全体の特徴としては、大問1以外でも知識問題が目立っています。例えば大問2で品詞の識別、3大問で四字熟語、大問4で表現技法・部首・ことわざ、大問5で文学史、などが出題されています。
【分析・対策】
 読解問題の選択肢は紛らわしいものもあるので、普段から吟味して選択肢を選ぶくせをつけておく必要があります。(例えば選択肢の文中の心情語、理由部分、その他キーワードなどに着目し、根拠づけながら選択肢を切っていく)
 最後に、古典は出題できるものも限られてくるので、代表作は粗筋だけでも目を通しておくと良いでしょう。宇治拾遺物語、今昔物語、徒然草などが一般入試も含め過去に複数回出ています。(今回は「今物語」)

数学

【構成】
 大問1小問集合/大問2確率・文章題(速さ)/大問3文章題(食塩)/大問42次関数/大問5平面図形(相似・円)
構成は例年通りとなっていますが、やや難化傾向にあります。
【分析・対策】
 大問1の小問集合は例年では満点を狙える得点源でしたが、単純な計算ではない不定方程式が出題され序盤でつまずき焦った受験生が多かったのではないでしょうか。
 大問3の文章題は食塩水の問題でも有名な等量交換の問題が出題されました。比を利用して解けばいとも簡単に解くことのできる問題ですが、食塩の問題が苦手な人にとっては難題となったことでしょう。
 大問5の平面図形は、例年通りで難易度もさほど高い問題ではありませんが、学校であれば9月・10月に学習するので、習ったばかりの受験生にとっては難しいとも言えます。
対策としては、2次関数、相似が例年出題されていますので、学校での学習を待たずに夏までには基礎的なレベルの問題が解けるようにしておきましょう。また、例年は見られなかった速さ・割合の文章題も出題されているので、文章題の対策も怠らないようにしましょう。

英語

【構成】
 大問1・2読解/大問3会話文/大問4発音・アクセント/大問5並び替え/大問6・大問7空所補充
 問題の順序は年によって前後することもありますが、読解力/文法・語彙力/発音と幅広く問われる点はこれまでと変わりありませんでした。
【分析・対策】
 大きな変更点としては、大問1・大問2の読解問題の長文が非常に長くなっていることや、大問3の会話文が長文の中に組み込まれるなど、全体を通して読まなければならない英文量がかなり増えていまることです。これまでの過去問と同じペースで進めていくと時間不足になってしまいます。全体としては難化傾向と言えます。
 対策としては、まずは普段から長めの文章問題に慣れておくことが`第一ですが、他には問題形式ごとに取り組みを工夫すると良いでしょう。例えば大問2のタイプは一気に読まずにパラグラフごとに問を確認する。選択肢に細かいひっかけがあるので、狭い範囲で根拠を明確にしながら解いていった方が間違えにくくなります。また大問3のような問題は、全体を読まなくても空所の前後の手がかりだけから答えることができます。そういった取り組み上の工夫からもかなり時間を稼ぐことができるでしょう。

土浦日本大学高等学校 帰国国際生入学試験情報

海外入試

 日程:2015年10月31日(土)
 試験地:台北、香港、バンコク、上海、シンガポール、ジャカルタ
 試験科目:国語・数学・英語(各50分マークシート方式)・面接(受験生のみ)
 合格発表:2015年11月9日(月)

国内入試

 日程:2016年1月16日(土)
 試験会場:土浦日本大学高等学校
 試験科目:国語・数学・英語(各50分マークシート方式)・面接(受験生のみ)
 合格発表:2016年1月20日(水)


東京都立国際高校 国際バカロレアコース 9月入学試験結果

わかば深圳教室から合格!

今夏もっとも注目の帰国生対象の入試、東京都立国際高校国際バカロレアコース(都立国際IBコース)の9月入学試験が7月3日、4日の2日間に渡って実施され、結果が9日に発表されました。
わかば深圳教室から受験をしたH.Mさんは見事合格!
初年度の情報が少ない中、本当によくがんばったと思います。

都立国際IBコースは今年開設の新コースです。
国内での国際バカロレアへの関心の高まり、都立の人気校国際高校で国際バカロレアが取得できるということもあり、昨年からこの入試は非常に注目されてきました。

入試は4月入学試験、9月入学試験の2回実施されましたが、
どちらも応募倍率が4倍を超えており、その注目度高さがうかがい知ることができます。

帰国生対象の入試というと、教科数が少なかったり、英語だけで受験できたりと、何らかの優遇措置があるものですが、このIBコース入試はそんな生ぬるいものではありません。
国内入試の中でも最も難易度の高い入試と言っても過言ではありません。

今回は、その入試の特徴やH.Mさんが合格できた要因などをご紹介したいと思います。
  

都立国際国際バカロレアコース選抜試験について

試験教科は以下の通りで、「1」の英語運用能力検査で基礎的な英語運用能力が確認された上で、「2」〜「6」の項目を合計750点で合否判定されます。

1.英語運用能力検査 筆記試験[60分]面接試験[10分]100点
2.学力検査(数学)[50分] 200点 日本語又は英語
3.小論文 [50分] 200点 日本語又は英語
4.個人面接 [15〜20分] 200点 日本語又は英語
5.集団討論 [35分] 100点 日本語又は英語
6.調査書(成績証明書) 50点

それでは一つ一つの試験についてみていこうと思います。

1.英語運用能力検査

筆記試験[60分](リスニング、リーディング、ライティング)
面接試験[10分](スピーキング)

この試験は総合の合否判定とは関係がなく、基礎的な英語能力があるかどうかを判定するためのテストです。将来的にIBコースで学習していく上での基礎能力をテストします。英検でいえば準2級程度の英語力があるかどうかのテストです。

2.学力検査(数学)

このテストは都立の進学指導特別推進校(小山台、駒場、新宿、町田、国分寺)が実施するテストと同等のレベルの内容で、通常の都立の入試問題よりも難易度が高く設定されています。私立高校レベルの数学の準備をしないと、200点満点中20点30点という点数を取ってもおかしくないレベルです。逆にしっかり準備した生徒は120点、130点は取れるテストですので、ここで100点以上の差が出てくると思われます。

3.小論文

小論文ということで、帰国入試でよくあるようなエッセイや作文とは異なります。図表やデータなどの資料を与えられ、その資料を読み取った上で課題について自分の意見を述べます。
言語は日本語、英語を選択できますが、日本人学校の生徒が英語で、インター・現地校に通う生徒が日本語で書くには難易度の高い内容です。
内容はこれまでのところ国際的な立場で意見する必要性のあるテーマが出題されているようですが、環境問題や世界における日本の立場などに対して一定の知識・見解を持つ必要があります。
数学同様に付け焼刃の知識や文章力では対応できず、事前の周到な準備が必要です。

4.個人面接

ここでは学校が公表している通り、意志・意欲を重要視しています。そもそもIBコースに入学するということは、IBが掲げる教育理念に賛同していることが条件になるので、学ぼうとする意志はもとより、自らの将来へのビジョンや国際社会との関わり方まで問われることになります。
点数配分も数学同様の200点と配点が高く、個人面接でどれだけ自分の気持ちを表現できるかも重要です。

5.集団討論

まさにコミュニケーション能力が問われています。テーマを与えられてから考える時間を与えられ、その後討論を行います。自分の意見を押し付けるだけではなく、相手の意見を聞き入れつつ落としどころを探ります。相手を論破することが目的ではありません。
集団討論もにわか仕込みでは対応できません。普段から自分の意見を持ち、意見を伝える努力をしてきたかが問われています。

6.調査書(成績証明書)

学校成績、検定類や活動の成果をみるということですが、配点は低めの50点です。普段の学校での努力が重要なのは言うまでもありませんが、IBコースの試験においていえば、数学、面接、討論などの能力が非常に需要だということがわかります。
 

この試験にどのように対応すべきか

ここまで見てこられた方には、この試験が一筋縄では通用しないことがお分かりになるかと思います。まだ公表されていないようですが、募集枠以上の応募があったにもかかわらず相当数が不合格になり、募集枠以下の合格者数になったようです。
特に初年度生なので学校側が相当慎重に選抜を行っていることがよくわかります。