香港学習塾 epis Education Centre

わかば深圳教室 教室長ブログ

教室長末木千尋

2011年12月に香港へ赴任。旧九龍教室、わかば深圳教室とで合計6年間勤務をし、2017年から再び深圳へ。きめ細やかなサポートには定評があり、時間が経つのも忘れついつい話し込んでしまうことも。本気で立ち向かう生徒の守護神として頼れるアネゴ的存在であるスエキチ先生は、衣食住どれをとっても刺激の絶えないここ深圳での生活がお気に入り。暑さには弱いが辛さには強い。好物は山椒のたっぷり入った激辛料理全般だとか。

アルゴクラブ「ジオ作品展」入賞への道4

いよいよ7月です。
わかば深圳教室では一学期をかけてジオ作品展入賞をめざして練習してきました。
これまではどんな風に作ったらよいのかわからなかった子供達も
自由な発想で作ることができるようになってきていて、子供達の成長ぶりを
目の当たりにしています。

来週には、今ままでご紹介したものなどから展覧会へエントリーします。
入賞作品がでるか楽しみです!


「かき氷」そうま

「スペースシャトル」Taichi

「花火」慧美


今日の算数の授業より「メビウスの帯」

6年生の算数の授業では「メビウスの帯」を扱ってみました。
細長いリボン状の紙で輪を作ります。
その時に、ひねりを加えるとメビウスの帯になります。
この形状は非常に面白く表面をたどっていくと、表面も裏面も通ってしまうという不思議な
形状です。

この帯だけでも面白いのですが、これをリボンの中央の線をたどって切ってみると、また
面白いことが起こります。

今日は1回〜4回ねじったものに挑戦。
切る前に予想を立ててから実際に切ってみました。

数学的には「向き付け不可能性」という性質があり、工業にも応用されているのだそうです。
こういったものに実際に触れてみることで子供達の想像力はきっと膨らんでいくものと思います。
新しいデザインかもしれませんし、新しい製品、新しいアイディアにつながっていくかと思うと、
算数にも夢がありますね。


まずはメビウスの帯を作ってみます。

2回ひねりの中央を切っていくと、大きな一つの輪になりました。

3回ひねりの場合は・・・・。2つの輪ができて鎖状につながりました。

4回ひねりだと、一つの輪には変わりはないのですが、結び目ができてますね。


星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。


昨晩、夜空を見上げてみるとひときわ明るく輝く星が2つ。
珍しく金星と木星が並んで輝いていました。

ひときわ輝くというよりも深圳では、その2つだけが見えて他の星はほとんど見えませんでした。

金星は内惑星(地球の内側を回る惑星)なので、夕方か明け方の空に、まだ明るさの残る時間帯に見ることができるのですが、昨日は、金星が東方最大離角の位置にあり、太陽から最も離れて見える日で、暗い夜空に金星が輝いていたので、ぱっと見た時は飛行機の光かと思うほどの輝きを放っていました。

東方最大離角という位置にあるのは6月7日だけですが、しばらくの間は金星が見やすいので、夜空を見上げてみてください。すぐに見つかるはずです。天体望遠鏡をお持ちの場合は、ぜひ望遠鏡でも見てみてください。ちょうど金星が月で言うなら半月のような形 に見えます。

ちなみに、6月20日(土)20時頃には月、金星、木星が近い位置に見られます。日本ではこの日に天文イベントもあるようです。香港のアベニュー・オブ・スターズには良く天文ファンが集まって、望遠鏡で月や惑星を観察しています。この日も行ってみるといいかもしれません。

さて、清少納言の枕草子にも金星が登場しています。

  星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。

すばる=プレアデス星団、ひこぼし=アルタイル、ゆうづつ=金星、よばひ星=流れ星

それにしても、すばるを選ぶところがなんとも憎いところです。
街の明かりのせいで、ボヤッとした星の集まりにしか見えない“すばる”ですが、平安の夜空での存在感はもっと違っていたのかもしれません。

通常は5、6個の星の集まりにしか見えませんが、双眼鏡を使えばすぐに10個以上、ガリレオは30個以上数えたのだとか。

金星を見て、平安の夜空を思ってみるのも、すこしをかし?


NHKスペシャル 生命大躍進 第1集「そして“目”が生まれた」


5月10日(日)に放送されたNHKスペシャル生命大躍進生命大躍進 第1集「そして“目”が生まれた」が非常に面白く、驚きの内容だったので、理科の各クラスでも紹介しました。その第2集が6月7日(日)にあり、その前日に第1集の再放送も予定されています。生徒のみなさんにもぜひ見てほしいのでここで紹介いたします。

第1集はそのタイトルの通り、人間がその進化の過程でどのようにして“目”を手にしたのかに迫っていきます。再放送があるので、見ていただくのが一番ですが、少し内容に触れておきます。

番組のタイトルから安易な想像で、どうせ人間の祖先の動物が海底で暮らしていたころに進化の過程で目も進化させていったのだろうと考えながら見ていたのですが、そんなことではありませんでした。

まず“目”を最初に手に入れたのは、なんと動物ではなく植物だったということが一番の驚きです。しかし植物が手に入れた“目”をどのように動物が手に入れるのか。そこには奇跡としか思えない偶然が何度も繰り返されていました。その偶然がなければ、動物に目がなかったとしてもおかしくないですし、目がないのであれば、恐らく今の形の人間は存在していないことでしょう。

ここでは内容を書ききれませんので、詳しくはやはり放送を見ていただくのが一番です。

なお、日本のテレビを見る環境にない方は、NHKオンデマンドでも動画を購入することができます。この番組は216円ですから、今や人民元で約10元ですね。子供達のお小遣いで購入させるのもいいのではないでしょうか?

それから、この番組のWebサイトも楽しく作られているので、一度ご覧になられても良いかと思います。http://www.nhk.or.jp/seimei/

この番組を通じて、少しでも理科好きが増えてほしいですし、生物としての人間の奥の深さ、歴史について少しでも興味を持ってもらえればと思います。


NHKスペシャル 生命大躍進 
  第1集 6月6日 午前2時35分〜午前3時35分
  第2集 6月7日 午後9時00分〜午後10時00分


受験勉強は受験のためにあらず

四海公園の蓮


わかば深圳教室のある深圳市蛇口地区は、歩いているだけで様々な植物が目を楽しませてくれます。教室から20分ほどのところにある四海公園は今、蓮が見頃です。赤・白・紫の大輪の蓮がざっと見ても1,000本近く咲いているように見えます。

蓮といえば、牡丹、桃、水仙などと共に中国で愛される十大名花の一つです。
また「一蓮托生」という言葉でも知られるように、仏教とは切っても切れない関係にあります。

ドロドロの泥の中からはい上がって、水面から顔を出した時に美しいグラデーションの花びらを大きく広げる姿を、泥の中の現世から極楽浄土の開花へと向かう人間の一生に重ね合わせているのだそうです。

西洋人が蓮を見ても神聖さを感じない かもしれませんが、私にはただの美しい花には見えません。幼い頃から繰り返し知らず知らずに見てきた、お寺の仏様の座る「蓮台」のイメージが頭に焼きついているのでしょうか。

さて、蓮の他にも、深圳で最近見かけた花の中で気になった花が2つあります。それは、アジサイとブーゲンビリアです。


アジサイ

その花の色で言えば、アジサイは紫、ブーゲンビリアは赤というイメージでしょうか。しかし実際には、アジサイ、ブーゲンビリアともに今回載せている写真で言えば、花びらの色は「白」ということになります。

アジサイの鮮やかな部分は「花びら」ではなく「がく」です。本当の花びらは鮮やかながくの中央にある小さな白い部分です。写真でも開花しているものと、開花していないものがあるのがわかると思います。
ブーゲンビリアも赤い部分は花びらではなく、こちらは「苞」という葉のような部分になります。本当の花は中央の白い部分です。写真では2本開花していて、1本は開花していません。


ブーゲンビリア

じっくり観察してみると、ちょっとした発見が散らばっています。深圳では様々な花が街中で見ることができるので、植物園に住んでいるようなものです。せっかくなので時間のある時に観察してみてはどうでしょうか。

翻って中学受験の理科のテキストを見てみると、植物の単元では花びら、雄しべ、がく、胚珠の数、離弁花なのか合弁花なのか、双子葉類なのか単子葉類なのかという一覧が「全部覚えろ!」言わんばかりに載っています。

しかし、ここで重要なのはその数を丸暗記することではありません。重要なことは、どの花をとってみてもそれぞれに特徴があるということを知った上で、どんな花でも実際に花を見てみることです。興味を持ってみることです。

興味を持つということは、前提として多少の知識が必要です。ブーゲンビリアは一見、雄しべしか無いように見えます。その時には「雌しべがない花なんてあるのか?」と考えるには知識が必要です。そのための材料がテキストにはところ狭しと掲載されているのです。

様々な物事に「興味を持つ」、「疑問を持つ」ということは、社会に出てから活躍する上で非常に重要な力です。

近年注目されているAIU(国際教養大学)では、単純に英語を伸ばすだけでは世界で通用する人材とは言えないと考え、幅広い教養を持てるよう、国際大学としては珍しく実験を重視した自然科学教育にも力を入れたリベラルアーツ教育を実践しています。

その成果が出たのか、AIUは高い社会的評価を得て、京大、一橋に次いで就職に強い大学として週刊誌で紹介されたこともあります。

私たちは目の前のテストのため、受験のために勉強してしまいがちですが、本来、中学受験、高校受験は受験のためにあるのではなく、子供達の成長を促し将来の力とするためにあります。

その中でも理科と社会は教養を深めるために最も重要な教科とも言えます。「必ず植物に興味を持ちなさい!」とは言えません。子供が何に興味を持つのかはわかりませんが、興味を持つきっかけを作ってあげることはできます。

理科好き、社会好きになるきっかけは、たった一つの興味から始まることもあります。この子は理科が嫌い、社会が嫌いと決めつけずにテキストから離れたところでも、普段からきっかけを与え続けてほしいと思います。